この間の宮古島で旅行の楽しさを思い出し、次の行先を探していた。日程の都合からマレーシアに決めて、勢いでクアラルンプール(KL)までの往復チケットを予約し、そこから観光ルートを考えた。
【0日目】
仕事を終え、夜10時過ぎに関空着。静かな場所のベンチを探し、持参したマットを敷いて寝袋に包まり一晩を明かす。
【1日目】
朝7時過ぎ、チェックインを済ませる。出国手続きは無人で、パスポートを機械に読ませて顔写真を撮るだけ。9時前、定刻通りに離陸。
およそ6時間、KL国際空港に到着。入国手続きも並ぶことなくスムーズ、パスポートを出して顔を見せるだけ。市街地まで鉄道で30分ほどで快適。
明日にはKLを離れるので、駅に至近のチャイナタウンに宿をとっていた。宿に向かって歩きつつ、国立モスク『マスジット・ヌガラ』に向かう。
マレー系7割、中華系2割、インド系他1割の他民族国家で、街中にヒンドゥー教寺院があったりする。町の人々を見ても、スカーフをかぶったイスラーム教徒、おでこに赤い印をつけたヒンドゥー教徒、中国語をしゃべる人など多種多様だ。
暑い中、そこそこの距離を歩いてモスクに到着。
靴を脱いで上がる。内部は大理石で涼しい。
メインホールもちょっとだけ入れた。
細かな装飾はあれど物は少なく、ホテルの大広間のよう。ボランティアガイド曰く、キリスト教や仏教のように偶像が無いのは「誰も神様を見たことが無いから」。キリスト教と同じ唯一神を信仰していて、キリストも神の声を聴いた預言者の一人だし、最後の預言者がムハンマドとのこと。
この旅行中に3か所のモスクに立ち寄って、ここともう1か所で信者の方に解説してもらって感じたのは、唯一神を心の底から信じているということ。いろんな人・物と祀る多神教世界に生きる私に比べて、宗教を心の拠り所としている度合いがずっと強いようだ。
チャイナタウンに到着。中国らしい装飾とともに、衣類・シューズ・バッグなどを扱うマーケットが広がる。飲食店はテーブルを歩道に並べて営業していて、いかにも東南アジアらしい。
混んでいて人気そうな飯屋で刀削麵と空心菜を頂く。刀削麺はあっさりのつゆにパクチーがたっぷり。空心菜は少々油っぽいが、がっつりニンニクが効いている。どう考えても2~3人前の量だ。
日本からかなり西にあるのに、時差は1時間しかないから、日没が遅い。7時くらいでも明るかった。コンビニでシャンプーを買って宿に戻る。
宿は一泊1,000円ちょっとの12人部屋。シャワーはお湯も出なかったけど、暑いので水シャワーでも大丈夫。部屋のクーラーが効いているかの方がよっぽど大事だ。その点この宿は問題なかった。割と疲れていたので11時ごろ就寝。
【2日目】
今日はKLから北にあるイポーという都市へ向かう。
昨日の衣類中心のお店は全部片づけられていて、ご飯の屋台や雑貨が中心になっていた。あれだけ大規模なマーケットが毎日出店しては片付けられているなんて、ちょっと信じられない。
最寄りの鉄道駅から乗車。電光掲示板の一つもない。列車から見えるのは林ばかりで、景色に面白みはない。スズやゴムの開発を目的として都市が発展し鉄道が整備されたからだろう。鉄道沿線に町がある日本とは対照的だ。
2時間ほどでイポーに到着。強い日差しにコロニアルスタイルの駅が映える。駅前に広がる旧市街地もきれいだ。
昼食は海鮮ベースのピリ辛米麵とモヤシ炒め。海鮮は好きではないが、鶏ガラも効いているので普通に食べられた。モヤシはイポーの特産らしい。短く太くシャキシャキしているのが特徴だ。青唐辛子の浮いた魚醤をかけて食べる。
イポーは郊外に見どころがあるので、タクシーを使う。東南アジアでは民間タクシーが発達していて、Grabというアプリで近くにいるドライバーを呼べる。アプリに登録したクレカで支払うのでぼったくりもない。
30分ほどでケリーズ・キャッスルに到着。ゴム農園の領主邸宅として建設中に放棄された廃墟だ。
だだっ広い森に流れる泥川のほとりにドンとある西洋の廃墟は、なんともアンバランスで、植民地時代を感じさせるものだった。
ここからまた30分、Grabでケ・ロッ・トンという洞窟寺院へ。大きな洞窟を抜けると、岸壁に囲われた箱庭のような庭園が広がっている。
東南アジアから中国世界に来たような感じ。一周、ゆっくり散歩してきた。
この後、Grabを使って宿に向かったのだが、ちょっとしたトラブルに遭った。この日泊まるのも1,000円くらいの安宿で、宿の前に行ったらドアに暗証番号式のキーがかかっていて入れない。番号も知らされていないし電話をかけてもつながらない。
1時間ほど粘ったが出入りする人間もおらず、急遽別の宿を手配した。Grabを使ったときもだが、こういう時に海外でもインターネットが使えて良かったと思える。新しい宿はさらに安くて800円、6人部屋で寒いくらいクーラーが効いていて、シャワーも十分熱いお湯が出た。今旅行でいちばんいい宿だった。
晩御飯はバターチキンカレーにする。日本と変わらぬ味。
一日中歩いて疲れた。早めに寝た。
【3日目】
翌朝、有名な高級点心料理屋さんへ。一皿250円前後、他の安いごはん屋さんなら一食分くらい。
2皿注文した。うすい皮の中には大きなエビが2つも入っていて、香草が効いている。
もう一皿はローストした鴨で、ごろっとした鴨肉が入っていた。今回の旅のなかで一番おいしい料理だった。高級と言いつつ一皿250円前後で、日本の半額以下くらい。高級料理を気兼ねなく食べられるのが、物価の安い国の楽しみの一つだ。
食べ終えて、軽く散歩しつつ宿に戻る。
大都会KLに比べて落ち着いていて、過ごしやすい町だった。
さて、かなり長くなってしまったので、前半・後半に分けることにする。
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