アートで有名な直島へ。
瀬戸内国際芸術祭をきっかけで知って、近場だし天気が良いから足を伸ばしてみることにした。
宇野港から20分ほどで草間彌生のかぼちゃがお出迎え。中に入ることもできる。
体験できる美術がいっぱいある、というのは後から思ったことで、13時からの美術館入館と今晩の宿だけ決めて、ほぼノープランだった。
宮ノ浦エリアを散歩して時間をつぶす。
なかなか魅力ある路地だ。こげ茶色の木壁が小豆島とそっくり。
島も大きくはなく、路地散歩もあっという間に終えた。時刻は11時、開いているごはん屋さんもなく、お弁当を買って港のベンチで食べる。
バスに乗って島の反対側へ。ぐるっと大回りして美術館へ向かう。
11月とは思えない暑さ、日陰がちょうどよい。風もなく穏やかだ。
島の南側は美術館エリアと呼ばれ、徒歩1時間半くらいの距離に美術館が3つもある。ゆっくり歩いて回ってほしいとの思いがあるのか、自動車はおろか自転車も禁止され、大きな歩行者天国になっている。
無料で鑑賞できる作品や屋外展示もあって、海沿いを散歩するだけで十分に楽しい。
そして、お目当ての地中美術館へ。
こんな感じで地面に埋まっているから「地中」美術館らしい。島の景観を損なわない配慮だとか。
内部は写真禁止のため、ほんの入り口だけ。
入口だけでわくわくする。建物自体も作品で、コンクリートの壁に人が出たり入ったりしているように見える。自然光で作品を鑑賞できる造りにもなっているらしい。
特に印象に残った作品はジェームズ・タレルの『オープン・フィールド』。
暗い部屋の壁に真っ青なスクリーンが映し出されていて、スクリーンの真下から黒い石の階段が伸びている。靴を脱いで石の階段を上るように係員さんに案内され、スクリーンに近づいていくと、それは平面ではなくて青い光で満ちた白壁の部屋であることが分かる。
部屋の奥まで入ると、青だった光が夕焼けを超えて真っ赤になっていく。強かった赤色が弱くなっていくと、白いはずの壁が緑色に見える。病院の壁が薄緑色になっているのと同じように。
人によっては酔うかもしれない。強烈に体験するアートだ。
一時間ちょっとで美術館を出た。早起きしていて眠かった。
広い公園で木陰をみつけて、芝生に寝転がって、昼寝をする。
アーチ状のオブジェの影もずいぶん伸びた。
島の真ん中を突っ切って宿へ。
宿は宮ノ浦とは反対側の本村エリア。静かな住宅街の古民家を改修したゲストハウスだった。周りに飲食店は無いので宮ノ浦に戻って銭湯に向かう。
夕焼けがいい感じ。
銭湯もアート作品になっていて、なんというか、白いタイルを基調としたポップでストリートなモザイクアートが壁面から湯舟の底まで続いている、といえばいいのだろうか。
外観はこれ。
晩御飯を食べ、宿に戻って寝た。
翌朝、本村エリアを観光する。家プロジェクトという、家屋を活かしたアート作品が点在していて歩いて回る。その前に雰囲気の良い神社を見つけて階段を上る。
家プロジェクトのひとつに繋がっていた。
共通チケットを購入すれば他の展示も見れるとの案内なので、チケット売り場へ向かう。
作品のひとつに真っ黒に塗られた寺があった。
これもジェームズ・タレルの作品で、中は真っ暗。隣の人も分からない。壁に手を突きながら進み、ベンチに座って前を見ているように案内される。何か映像が流れると思っていたが、一向に何も始まらない。音もない。うっすらと暗いスクリーンが見えてきて、それだけ。立ち上がってゆっくりと前に歩いていくように案内された。
スクリーンの方まで歩いていくと、オープン・フィールドと同じように平面ではなく空間であることが分かった。実はずっと同じ明るさで、暗さに目が慣れて見えるようになったらしい。今はどこに人がいるかもはっきりわかる。
後ろを振り返ると真っ黒な柱が立っているようだ。そこが出口だと案内される。なんだか変な気分だ。
他にもいろいろ作品はあったが、印象に残ったのは建築とジェームズ・タレルの光を扱う作品だった。体験するアートを強く感じる旅だった。本村を後にして宮ノ浦からフェリー、宇野港へ戻る。のんびりできて良かった。
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